「最近腰痛が気になる」「病院で腰部脊柱管狭窄症と診断されたけどよくわからなかった」と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)の
- 症状
- 原因
- 治療方法
- 検査内容
- やってはいけないこと
を紹介していきます。もし症状に当てはまるものがあれば病院に受診してください。
また受診し、腰部脊柱管狭窄症と診断されたけど医師の説明を忘れてしまった方は、この記事を読み、もう一度おさらいしてみましょう。
腰部脊柱管狭窄症とは
加齢などに伴い腰椎(ようつい)の脊柱管(せきちゅうかん)が狭くなり、脊柱管の中を通っている神経や血流を圧迫してしまう病気です。
脊髄(せきずい)というとても重要な神経組織を脊柱管は守っています。その脊柱管が変形してきて、中にある脊髄を刺激している状態です。
脊髄は脳と同様の「中枢神経(ちゅうすうしんけい)」という体全体をコントロールする神経のため、脊髄を刺激されると、腰部から下肢にかけて症状が出てきます。
腰部脊柱管狭窄症の症状
腰部脊柱管狭窄症は症状として腰痛があると思われがちですが、「腰痛の有無は問わない」とガイドラインで発表されています。
参照:腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021(改訂第2 版) – c00646.pdf (jcqhc.or.jp)
私が働いている病院で、腰痛のみの症状で受診し、腰部脊柱管狭窄症と診断された患者様もいます。
症状が腰痛のみでも、病院に受診するのがおすすめです。
また、腰痛がない場合でも腰部腰部脊柱管狭窄症の可能性もあるので、腰痛以外の症状も確認しておきましょう。
臀部や下肢のしびれ・痛み
腰部脊柱管狭窄症は臀部(でんぶ)※や両下肢(りょうかし)※にしびれや痛みがでます。
※臀部:お尻
※下肢:股関節から足のつま先まで
下肢にしびれがなくても脱力感や疲労感も症状の1つです。
また腰部脊柱管狭窄症の代表的な症状として「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」があります。
間欠性跛行とは長時間立つことや歩き続けられなくなることです。
- 長時間の立位や歩行で臀部や下肢にしびれ・痛みが出る
- 前かがみになったり座ったりすることで症状が落ち着く
- 自転車に乗ったり、ショッピングカートを押したりすると症状が楽になる
このような状態は腰部脊柱管狭窄症の症状である「間欠性跛行」が出ている可能性があります。
患者さんでは
- 電柱1本分しか歩けない
- 5分程度しか歩けない
と訴え、検査した結果、腰部脊柱管狭窄症と診断された方もいます。
膀胱直腸障害
腰部脊柱管狭窄症によって神経が圧迫され、排尿・排便機能も障害を起こす可能性があります。
排尿障害
- 尿が出ない(排尿困難)
- 残尿感
- 排尿時の勢いが弱い
- 頻尿
- 尿が漏れる(失禁)
排便障害
- 排便困難
- 便秘
- 便が漏れる(便失禁)
圧迫されている神経の場所によって、症状の程度は異なります。
排尿・排便障害があるときは、泌尿器科や消化器内科、胃腸科などに受診し、異常がなければ整形外科に受診してみましょう。
腰部脊柱管狭窄症で神経が圧迫されていることが原因の排尿・排便障害の可能性があります。
そのままにしておくと腸や腎臓の病気になってしまうリスクもあるため、まずは受診することをおすすめします。
原因
老化
背骨は常に体を支えているため、負荷がかかっています。
そのため長年使っていると、老化が原因で、
- 腰椎の背骨が変形
- 椎間板の突出
- 周囲の靭帯が厚くなる
という現象が起こり、脊柱管の中が狭くなることで、神経や血管を圧迫し、腰部脊柱管狭窄症の症状がでてきます。
運動
若い人でも、
- 運動をたくさんしている
- 腰に負担がかかる姿勢をよくとる
このように、運動や姿勢、動作などで日頃から腰に負担をかけていると腰部脊柱管狭窄症になる可能性もあります。
脊椎の病気
脊椎(せきつい)の疾患を持っている人も腰部脊柱管狭窄症になりやすい。
- 脊椎圧迫骨折
- 腰椎変性側弯症
- 変形性腰椎症
- 腰椎変性すべり症
- 腰椎椎間板ヘルニア
このような疾患を持っていると、腰部脊柱管狭窄症になりやすいです。
過去に上記の診断をされ、間欠性跛行(長時間歩行ができなくなる)の症状が出てきたら腰部脊柱管狭窄症の恐れがあります。
やってはいけないこと
長時間同じ姿勢いる
腰部脊柱管狭窄症は前傾姿勢(腰を丸めたような姿勢)だと、症状が和らぎます。
しかし、長時間同じ姿勢でいることで、腰周辺の筋肉が固まったり、椎間板(腰のクッションの役割)に負荷がかかったりして、動き出すときに負担がかかります。
そのため前傾姿勢も同様、長時間同じ姿勢でいるのではなく、適度に体を動かすことが必要です。
30分に1回は立ち上がり、膝に手をつきながら腰を軽く曲げるような体操をすることをオススメします。
腰に負担をかける
- 重いものを持つ
- 腰を過度に反らせる
- 過度な運動
このような行動は腰に負担をかけてしまい、症状が進行してしまいます。
どうしても重いものを持たないといけない場面では、腰を曲げずに、膝を曲げて持ちましょう。
また腰部脊柱管狭窄症になったからといって、運動を全くしなくなるのは、筋肉が減少することで、腰に負担がかかります。
無理をせずゆっくりとした動きで運動やストレッチを取り入れていく必要があります。
医師や理学療法士に指導してもらい、適切な運動・ストレッチを行うことが大切です。
腰部脊柱管狭窄症が疑われたらどのような検査をするのか
画像
- 単純X線像
- 単純CT
- MRI
- 脊髄造影・脊髄造影CT検査
単純X線像(レントゲン)のみで腰部脊柱管狭窄症を診断することは難しいですが、CTやMRIの所見への付加価値としてレントゲンも重要な検査です。
ペースメーカーが入っていてMRI検査ができない場合や、MRIだけでは判断ができない場合は、CT検査や脊髄造影検査を行います。
その他
- 問診
- 腱反射
- 筋力テスト
- 知覚テスト
問診
- 痛みやしびれが出ている場所
- どのような時に痛みやしびれが出るのか
- 尿や便の状況
- 腰痛の有無
- どのくらいの距離、時間を歩けるか
- 腰椎の疾患の有無
- 糖尿病の有無
- 仕事内容(腰に負担がかかる仕事をしていないか)
- 運動の有無
上記のことを問診し、腰部脊柱管狭窄症の可能性やリスク、重症度を確認します。
腱反射
アキレス腱をゴム製のハンマーのようなもので軽く叩いて反射の確認をします。
正常であれば足が底屈(足が下に下がる)します。
腰部脊柱管狭窄症になっていると、神経が圧迫され、腱反射が低下することが多いです。
筋力テスト
股関節や膝、足首、足の指を医師が押すので、その力に抵抗し、力比べをしてテストをします。
神経が圧迫されているかや、筋力の低下を検査していきます。
感覚テスト
手や太もも、足を医師が触り、
- 触られているのかが分かるか
- 感覚に左右さがないか
を確認します。
神経の障害の重症度、どこの神経が障害を受けているのかを検査します。
治療
腰部脊柱管狭窄症は症状の重症度によって、治療期間はさまざまです。
数週間で症状が良くなる人、数ヶ月経っても良くならない人など、個人によって変わってきます。
いずれにしても数日で治るものではありません。
どのように腰部脊柱管狭窄症の治療をしていくのか確認しておきましょう。
保存療法
処方された薬を飲み、リハビリをしていきます。
薬を飲んだりリハビリをしたりすることで、痛みやしびれが緩和していく可能性があります。
もし薬やリハビリで症状が軽減しなければ、神経ブロック注射をしていきます。
手術
保存療法で症状が軽減しなく、日常生活に支障が出ている場合は手術をします。
腰部脊柱管狭窄症を診てもらっているのがクリニックの場合は、紹介状を書いてもらい、手術ができる病院に入院します。
まとめ
腰部脊柱管狭窄症の症状は
- 臀部や下肢のしびれ・痛み
- 長い間立ってられない・歩けない
- 排尿障害
- 排便障害
です。
症状が進行してからでは、すぐに手術をしなくてはいけない状況になってしまうリスクがあります。
そのため、もし腰部脊柱管狭窄症の症状が当てはまるものがあれば、早めに病院に受診しましょう。
参照:腰部脊柱管狭窄症|一般社団法人日本脊髄外科学会 (neurospine.jp)
腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021(改訂第2 版) – c00646.pdf (jcqhc.or.jp)
MO0013CKA.pdf (joa.or.jp)
06特別企画(紺野愼一 先生).indd (jst.go.jp)
cervical_spine_201014.pdf (jssr.gr.jp)
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